なぜボルドーの頂点?シャトー・ラフィット・ロートシルトの歴史や飲み方を徹底解説
ボルドー5大シャトーの1つであるシャトー・ラフィット・ロートシルト。5大シャトーの中でも筆頭格であり「王のワイン」と称号を得ているワインです。この記事ではそんな王のワインについての歴史、醸造の特徴、よりおいしく飲む方法を書いていきたいと思います。
この記事を読むjことで、シャトー・ラフィット・ロートシルトがボルドーの頂点になった理由がわかります。
シャトー・ラフィット・ロートシルト基本情報
1855年のパリ万博のときに、ナポレオン3世の命令によってメドックの格付けが行われました。5大シャトーの1つであり、その中でもトップの座についたのがこのシャトー・ラフィット・ロートシルトです。
およそ160年以上経過した今も変わらず5大シャトーの筆頭として、世界中のワイン愛好家たちを魅了し続けています。
生産地
フランスのメドック地区、ボイヤック村
生産者
シャトーラフィットロートシルト
格付け
メドック1級(メドックの中でも筆頭格)
品種
- カベルネ・ソーヴィニヨン70%
- メルロー25%
- カベルネ・フラン3%
- プティ・ヴェルト2%
シャトー・ラフィット・ロートシルトの歴史
「LaHite(ラフィット)」という呼び名は中世(14世紀頃)の農園の名称のことです。ラフィットはボイヤック村の中で最も高い場所の条件の良い土壌が広がる場所にあります。
歴史は古く17世紀にまで遡ります。
17世紀にセギュール家がシャトー・ラフィットの所有者となったことからシャトー・ラフィット・ロートシルトの歴史は始まります。
セギュール家はブドウ畑を広げ、ワインの生産に力を入れ始めました。
シャトーラフィットが高名になるきっかけとなるのが、1760年にルイ15世の愛妾ポンパドー婦人がワインで王の歓心を買おうとブルゴーニュの有名な畑を手に入れようとしたことです。
しかし競りに負けてしまい、その代わりにラフィットを勧められます。婦人はラフィットのワインがとても気にいりヴェルサイユ宮殿で必ず飲むようになりました。
これをきっかけにラフィットは、「王のワイン」と呼ばれるようになり一躍脚光を浴びます。
ちなみに、競りで負けたブルゴーニュのある高名な畑を手に入れたのは、コンティ公で、これが有名になるロマネ・コンティとなるのです。
18世紀半ば、セギュールには男子がいなかったのでシャトーは4人の娘に分与されます。ラフィットを相続したのはニコラ・マリー・アレキサンドルです。
しかし彼女は莫大な借金を抱えてしまいラフィットは親戚の手に移ります。
その後、数人の所有を経て、19世紀後半に所有者となったのは、オランダ商人のヴェンテーンベルク家です。
その間もワイン作りは受け継がれ、1855年のパリ万国博覧会で行われたメドック格付けで第1級ワインの筆頭として最高の評価を受けることになったのです。
しかし、19世紀末から20世紀前半頃まで、フィロキセラ、第一次世界大戦、世界恐慌、第二次世界大戦と苦難の時代が続いてしまいます。
特に第二次世界大戦では、フランスがドイツ軍に占領されてしまいます。
そのときにラフィットは、ロートシルト財閥の財産であることを理由に解散させらてしまいます。そのときにセラーも略奪を受けます。
しかし、1945年にエリー・ド・ロッチルドルがラフィットの所有権を取り戻しシャトーの再生に着手します。
エリーは、ブドウ畑の改良や施設を修繕して抜本的な見直しを行います。
その結果、1950年、60年代に素晴らしいヴィンテージワインを作り出すことに成功し、1970年代にエリーの甥のエリックにシャトーが引き継がれ、さらに拍車がかかります。
具体的には、技術人員を増やしたり、ステンレスタンクの設置、2,200樽を収容できる育成倉庫を用意したり、運営に力を入れていきました。
現在は醸造責任者のシャルル・シュヴァリエのリーダーに、世界最高水準のワインを作り続けています。
名前の由来
シャトー・ラフィット・ロートシルトの名前の由来は、1868年にロートシルト家が、シャトー・ラフィット、のちにラフィットと統合されるシャトー・カリュアドの新たな所有者となり「シャトー・ラフィット・ロートシルト」と改名されました。
シャトー・ラフィット・ロートシルトの味わい方
5代シャトーの中でも最も繊細でエレガントさがあります。果実の風味があり、タンニンはまろやかで気品に溢れております。
香りもベリー系やドライフルーツの香りがありエレガントな味わいになっています。
飲むときの適正温度
シャトー・ラフィット・ロートシルトを飲むときの適正温度は16℃〜20℃です。これ以下の温度だと酸やミネラルが際立ってきます。
適正グラス
適正グラスはチューリップ型のボルドーグラスを選びましょう。香りを取りやすく、温度が少しずつ上がるように設計されているからです。
当たり年
シャトー・ラフィット・ロートシルトの当たり年をみていきます。1961年、1982年、1990年、2000年、2005年、2009年、2010年、2015年、2016年、2018年となっています。
価格の紹介
シャトー・ラフィット・ロートシルトの価格は7万〜20万です。5大シャトーのなかでも最も値段が高く、ヴィンテージによっては40万を超えるものもあります。
シャトー・ラフィット・ロートシルトの生産数
栽培面積は100haで、ワインの生産量は年間平均およそ3万5,000ケースの42万本です。その中で第1級格付けワインのシャトー・ラフィット・ロートシルトは1万5,000〜2万5,000ケースが出荷されています。
シャトー・ラフィット・ロートシルトの醸造の特徴
醸造の特徴はなんといっても新樽のみを使用していることです。シャトー・ラフィット・ロートシルトは自社の樽工房を持ち、樽を全て自社で製造しています。発酵したブドウは自社製の樽に入れておよそ20ヶ月熟成し、「王のワイン」にふさわしい味わいのシャトー・ラフィット・ロートシルトが出来上がるのです。
シャトー・ラフィット・ロートシルトのまとめ
シャトー・ラフィット・ロートシルトは幾多の困難を乗り越えてきたワインです。
世界恐慌や、第二次世界大戦、フィロキセラの被害にも耐えてきたのも引き継いだ責任者の多大な努力によるものです。
その甲斐があり現在も5大シャトーの中で筆頭格の存在であり続けるのです。オリジナルの醸造方法も、シャトー・ラフィット・ロートシルトの味わいを守り続けているに違いありません。
さまざまな失敗を重ねながらも、最もブランド力の高いワインを作り続ける生産者にこそ「王」という称号を与えるべきなのかも知れません。